音楽解析on twitter 解析曲名「チェリー (スピッツ)」のブログ上での掲載。

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スピッツ / チェリー

 

※音楽を聴く時は出来るだけヘッドホンをつけて聴いた方が、音楽の世界観に入れるよ(/・ω・)/

YOUTUBEの切り抜き画像に表示されている動画の再生時間表示に添って、

音楽を聴きながらこの文章を読んでいってくれると嬉しいよ(*^-^*)。

 

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戦争の横で、シコってた。
爆弾などの爆発音で耳がちぎれそうになる最中、

君は澄ました顔をしてマスをかいていた。
超絶・超越、冷静にして。
俯瞰感覚を極上のおかずにして。
独りを突き詰めることで全体と共にあって。
自分自身との対話を無数に繰り返すことで、世界に完全に溶け込んで。
この曲が君の心に映し出す物語は、始まりへの物語。
つまりこの曲が君の心に映し出す物語とは、脱童貞の物語。
白紙の頃の、君に会いに。
破れる前の割れる前の、君に会いに。
現在の君の心臓はほどよく柔らかく。
柔らかく柔らかく、くにゃりくにゃりと気持ちよく。
心臓音と出液音は視線合わせて重なるように鳴り続けていた。
クチャリクチュリ、ドドドドド。
残念、後悔、紅の滴。
さあ、始めようか。
とてもとても気持ち悪く、とてもとても初々しい物語を。
初体験は一度だけ。
1枚の写真しか、僕たちは所持することが許されていなかった。
ひどく平等、嬉しいね。
あの時その時、君は君を燃やしていた。
強くなるために。己を知るために。世界を感じるために。
あの時その時の記憶の破片が、今の君を成り立たせるためには必要不可欠だった。
だからもう一度、あの時その時を見つめにいこうよ。

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鮮やかに軽やかに、君の血の解体は行われていき。
ここに標識は無く。
ここに混雑という概念はなく。
止める者なき道を・そよ風だけが吹く一本道を、君は独り進みゆく。
無限が無限を呼んでいる。
足りない人は余裕ある人に吸収されて。
余裕ある人はさらに余裕ある人を見て、さらに器大きくならうとしてゆく。
焦りとか殺伐とか、そんなんゼロで。
理想とも呼べるべき平等で穏和な世界が成っている。
反乱、起きるはずもなく。
革命起こそうとする者なく。
さて、そこで君。
若い君、世界を知らない君、瞳が白色の頃の君。
まだ何色にも染まっていない君。色というもの自体、ほぼ知らない君。
君が少し、問題で。
君はこの世界には不釣り合いな好奇心を持ってしまっていて。
この穏やかな世界の中で君は、世界に変化をもたらすキーとなる。
この緩やかな世界の違う顔を、君は見たいと思ってしまう。
誰も疑念を持たないこの平和な世界を、君はバラしゆく。
怖さを隠す世界と、怖さに反抗・対抗してゆく君との戦いが始まってゆく。
この戦いに吐き気は必需品だった。
まさに聖戦、まさに性戦、始まってゆく。

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この物語に可愛い女の子は必要で。
というよりもこの平穏な世界には可愛い女の子が元々いなかった。
可愛い女子という「姫」がいないことが当たり前の世界だった。
姫に会いたいという君の想いから、この世界は分岐してゆく。
海の中へと山の中へと危険伴う場所へと、君を姫を探し続け。
彼女と会いたいがために君は戦い。
夜の頭上に輝くキラキラなお月様を見ながら、いつか会うその姫を想い続け。
姫という行き先が決まっているから、傷つくことに恐れなく君は安心し続けて。
目標が定まっているから迷うことなく歩み続けて。
これが生きるって、君は信じ続けている。
これが自分の宿命って、君は自分を洗脳し続けている。
身体傷つくことなんて、何ともなく。むしろ悦びで快感で。
心の中に彼女がい続けることだけが、君の真実だった。
ああやっぱり、童貞って恐ろしい。
ああそして、童貞って心底羨ましい。
穢れなき煌めき、いざここにキラリ。

ふふふふふ。

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この物語に旅を共にする同性仲間は当然必要で。
彼と君は冒険途中、ずっと語り続けている。
彼とは姫なんかよりもずっとずっと長く、君と時間を共有している。
この終わりなき世界はあまりにも広大で。
この世界には煩わしい面倒くさい敵が多すぎて。
なかなかかなりはちゃめちゃとても、姫がいる所へは久遠に辿り着けなくて。
姫を想いながらも、日々の拠り所は心結ばれている親友である彼と作り上げている。
遠すぎる姫を忘れそうになった時、彼がなだめてくれたりしてくれていて。
彼との時間の中で、君は君を固定してゆく。
彼との対話によって、君は君を保ち続ける。
大人になんかなるんじゃない。
契ることは永遠に叶うことはないけれど、
それでも君は全く絶望していなかった。
その道なりが悦だった。
姫を想う、彼との時間が最高に幸せだった。
届かないことが出会わないことが、繋がりを生み続けていた。
その時の君から見たら、大人たちは誰も幸せそうには見えなかった。
幼き君は、カエルのままあがき続けていた。
それでも君はその自分の甘さが、たまらなく好きだった。
知らない世界甘い世界、まだ始まっていない世界、そこにあり続けていた。

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君の力に頼ることなく、甘い世界・白い世界は勝手に崩壊していって。
これまでの君の努力、まるですべて夢のようで。
崩れゆく・消えゆくその世界を眺めながら、
君は少しずつ、この部屋を出る準備をしていった。
冒険なんて、始めからなかったんだ。

姫を探す旅なんて、実際のところ何もしていなかったんだ。

すべて、夢だったんだ。
君は自宅の自室のベッドの上で、ただ泣き続けていただけだったんだ。
子ども時代はとうに過ぎ。君は全く幼くなくなっていて。
時だけが君を庇っていった。
空間は君を笑い続けていた。
標識だらけの世界に舞い戻り。

禁句だらけの世界に舞い戻り。

戦ばかりのこの世界に舞い戻り。
この現実世界の中で君は何も、異端ではなく。
特別性を失って、君はかなり萎えていた。
それでも仕方なく、君は自分の部屋を出ていった。
それが自分自身の望みかどうか、君にはよく分からなかった。
分からないまま君は、卒業していった。

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陽(ひ)は眩しくうざったく。
毎度おなじく、街の空気は生暖かく生臭く濁っていて。
ゴミのような顔を添えながら、君は群衆の中に紛れゆく。
誰も君の名を知らずして。
誰も君の存在を加味せずして日常の時は経過してゆく。
ふう、ふう、ふう~。
日常はやはり、日常で。
溺れ想いは霞ゆく。
焦がれ想いは街に・日常の時間に空間に飲まれゆく。
戦友も姫も、とてもあっけなくケモノ達に噛み殺されていってしまった。
勇者の任を、君はあっけなく解かれていった。
ただただ、ただただ、君という存在は暗く脆かった。
ただただ、ただただ、君という物語は怖かった。
曲が終わっても、この物語は終わらず。
納得できないしこりを残して、僕たちはこの曲を離れゆく。
あまり固執しすぎるな。解のない問いに、囚われ続けるな。
とりあえずまあ、海にでも行こうか。
海になら姫なんて、いくらでもいるから。
いないけどなっ!
おわり。

 

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解析曲名「チェリー」
終。