音楽解析on twitter解析曲名「月光 (鬼束ちひろ)」のブログ上での掲載。

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鬼束ちひろ - 月光

 

※以下、ツイッター上に最初に載せた文章から、一部修正しています。

 

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そんなに生きたいか?
その問いを自分自身から投げつけられるのは、何億・何兆回目のことだろうか。
繰り返し繰り返し、自分の心の内からその問いは聴こえてきて。
相変わらず相変わらず、その問いには全く応えることが出来なくて。
いつになったら、応えてくれるの。
もしくは、いつになったら、諦めてくれるの。
私という景色、もう見飽きた。
私という夢、もう疲れた。
この曲が私たちの心のに映し出す物語は、三途の物語。
私と同じようにこの世界には、死にきれない人がたくさんいる。
いつから彼らは、その命の意味を見失ったのだろう。
いつから彼らは、盲目になってしまったのだろう。
生きるの大半は死。
そんな想いを持った人たちに、この曲は捧げられていく。
どうか今夜だけでも、私たちの心が静まっていきますように。
どうか、どうか。
よろしく、私たちの愚かで醜い心たち。
どうか、よろしく。

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憎い。
自分の血が憎い。

自分がする呼吸が憎い。
世界を・世を映してしまう、自分の瞳が憎い。
否定を探して。
逃げ込める場所を探して。
粗を探して。
出来るだけ早く速やかに、自分を終わらせたい。
だけどなかなか一瞬で、自分を終わらせることが出来ない。歯がゆい。
だから自分を攻撃して。
だから、自分の弱いところばかりを注視して。
ぐちゃぐちゃに、ぐちゃぐちゃに。
ドロドロに、ドロドロに。
諦めて、堕ちて。その方が楽だから・簡単だから。
昇ることは・晴れゆくことは、私では難しいから。
簡単な方へ。弱く愚かな自分でも向かえる方角へ。
堕ちてしまえば、否定もされない・否定は感じない。
堕ちてしまえば、誰からも見られない・誰からも注目されない。それは自分自身からも。
世間に対する興味を失って。
世の中・社会に対する関心を薄めて。
すべて空言に。
すべて戯言に。
不必要な世界で、自分の存在を限りなく薄め延ばしていって。
ふふふ。
絶叫しても、ここでは赦される。
ヒトでなくても、ここでは赦される。
暴れたいなら暴れて、破壊したいなら破壊して。
うずくまりたいならうずくまって。死にたいなら死んで。
夜の海面に映る月影、薄く揺れ笑い続けていた。
にっこり。
にこにこ。
あはははは。

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そよ風に任せて、自分を分解していって。
これまで積み上げてきたものを、鮮やかに崩しボロボロにホロホロにしていって。
脆く儚く、砂へと還り。
ミクロを愛し、ナノに恋焦がれて。
美しさから最も遠い所に、自分を置いて。
失くし失くし、枯れ細り。
自分の身体という器、まだ大きい。
要らなくて忘れて、意識を霞みさせて。
お坊さんか。
まるで、お坊主さんの修行のようか。
出来るだけ自分を失くした先に見える景色、それが見えてくるのをただただ待ち望んで。
今は、何も見えないから。
ただ、暗闇の中に浮かび漂っていて。
ああ、気持ちいい。
ああ、温かい。
何か、久しぶりに死ぬことが赦されて、とても嬉しい。
ギザ嬉しい。
ああ、ああ。
ああ。

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不必要性の中に、逃げ込んで。
落とし物を、さらに増やしていって。
ガラガラのバラバラの、ガラクタに近づいて。
ヒトから離れていくことで、ヒトの美しい部分が少しだけ見えてくるように。
自分から離れていくことで、見えていなかった自分の破片に気づきゆく。
まだ、思考は捨て続けて。
まだ、想うことは止め続けて。
それをしてしまうと、また君に負荷がかかってしまうから。
想い始めると・思考を再始動させてしまうと、自分の醜い箇所がまた目についてしまうから。
今はただ、中身が失くなった自分の身体を殴り続けて蹴り続けて。
今はただ、考えることを止めた自分という器を割り続けて。
分裂し続ける自分を成立させて。
軽く幽体離脱して。
想いは重く。
頭を使ってしまうと、また馬鹿な自分に再会してしまうから。
そいつとはもう少し、距離を置いておこうよ。
そいつ、面倒くさい奴だから。

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意識を、たゆましてたゆまして。
自分の心から離れて。心を忘れて。
戯れることが出来るなら、楽しふりして戯れて。
遊びの中で、懐かしさに再会して。
出来ることなら、今から逃げて。
叶うなら、タイムリープし続けて。
まだ、何も見えない。
まだ、暗闇の中、真っ只中。
ここではなく。
ここを忘れて。ここを離れて。
より静かな方へ、向かって行って。
いつ、笑えるのかな。
いつ、思い出せるのかな。
分からない分からない。
どちらでもいい。どこでもいい。
意識を見失うことによる気持ちよさに溶かされて。
自分自身の彼方遠くの過去の記憶を追い続けて。
時間が存在していないこの虚ろな空間を、静かに独りで堪能していきましょう。
赦されないことで赦されていく世界、とても美味しい。

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遠くの方から少しずつ、そう少しずつ、面倒くさい厄介な声が聴こえてきて。
うへえ。
うぽお。
げぼぼぼぼう。
まだ、眠らせてくれよ。
まだ、忘れたままでいさせてくれよ。
世の中や社会は、出来る人に任せておきたい。
堕ちこぼれは、損するだけじゃん。
ほぼ死人な私たちは、上手く利用されゆくだけじゃん。
餌に、なるだけじゃん。
お客様に、なるだけじゃん。
不健康な君は、糸に吊るされて操られていないと生きられない。
考えることを止めて思考することを止めて、
誰かの言葉を盲目的に信じることでしか生きられない。
そういう自分、何かもう、飽きた。
人形であり続ける自分、もう疲れた。
かと言って、自分だけでは立てない君であって。
はー(世界最大級の超絶クソでかため息)。
まだ、外には出たくないなあ。
まだ、この暗闇の中で淡く緩く呼吸をし続けていたい。
それが赦されるなら、永遠に。
久遠の世界に、君は君を逃がし続けてゆく。
頑張って逃げて、か細い私。
応援、してるぞっ。
ぞいっ。

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呼鈴は鳴らされて。
ドアはノックされ始めて。
期待、して欲しくない。
必要、されたくない。
ズルいよね。
必要な時だけ、必要とされて。
欲しい時だけ、遣わされて。
暗闇仮面はいまだ取れず。
この仮面、だいぶ気に入ってしまったから。
暗闇に留まる猶予、与えられ続けて。
こちらから、光る方を観察し続けて。
馬鹿みたいに頑張っている人たちの様子を、口を半開きにしたままボーっと眺め続けて。
あへ。
あへあへ。
純粋に、すごいなー。
すごいなあ、羨ましいなあ、輝ける人たちは。
いいなあ、あんな風に生きられて。
いいなあ、あんな風に自然に笑えて。
拍手、拍手。
パチ、パチ。
死人の私を愉しませてくれて、ありがとう。
どうかこれからも、清らかに頑張っていて下さい。
頑張れる人は、適度に適当に朗らかに、頑張り続けてください。
そちらの明るさがないと、こちら側が成立しないから。
どうか久遠に、輝き続けてください。
私は、また寝ます。
私はまた、眠り続けます。
おやすみなさい。
清く、助べえに、おやすみなさい。

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吟遊少女の切なげに奏でる物語はようやく終わりに近づき。
よかった、終わりに近づけて。
よかった、今夜も夜を越せそうで。
いつにも増して、今夜は君は緋色と共にいて。
何億何十兆と刺されゆくことで、私たちは心の不安を相殺してゆく。
よかった、不安で。
よかった、死ぬ間際の場所に自分が居て。
とても温かいところへ、逝けたから。
とても満ち足りた世界で、心休まることが出来たから。
はあ、また明日、来ちゃうのかあ。

嫌だなあ。
嫌、なんですけど。
起きたくない。
何も容れたくない。
何も視たくない。
入るものは・容れるものは、確実に不必要なものだから。
また、今夜みたいに眠りたいなあ。
また、優しい夜、来て欲しいなあ。
そう願いながら、静かに今夜もまた、沈み続けていきました。
おやすみなさい。
おわり。

 

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解析曲名「月光」
終。