音楽解析on twitter解析曲名「you(ひぐらしのなく頃に)」のブログ上での掲載。

f:id:inukaiyuu:20190418193306p:plain

 


you (ひぐらしのなく頃に)

 

以下、ツイッター上での「曲の歌詞」にあたる部分は、

ブログ内ではYOUTUBE動画における「再生時間」で表しています。

また、ツイッター上に最初に載せた文章から、一部修正したりしています。

それではどうぞ。

 

「再生時間0:04~0:10」

f:id:inukaiyuu:20190418194821p:plain

 

月に、言われたから。
私が誰からも見捨てられて苦しかったり辛かったりした時も、
唯一見守ってくれていたお月様が、そうしろと命じたのだから。
だから私は、したんだ。
だから私は、殺(や)ったんだ。
夜風の音、中立のまま轟々(ごうごう)と鳴り響き続けて。
深々と深々と。君の心は怖いぐらい深々としていって。
限りなく人間性を失くすことで、君はヒトの最奥へと触れてゆく。
それはとても熱く。それはとても醜く。それはとても稚(いとけな)く。
辿り着いたその先で、君の横顔が映すものは果たして。
これは鬼の物語。
奇怪の中に、安穏(あんおん)を求めて。
すがることで、滅び消え失せることを望みゆく。
もう十分じゃないか。もう十分、君は引き裂かれたじゃないか。
それならもう、寄りかかり寄り添う機会得ても赦されよう。
眠れない君へと贈る鎮魂歌、今ここから奏でられてゆく。
ケケケケ。

 

「再生時間0:10~0:37」

f:id:inukaiyuu:20190418195256p:plain

 

はじまりはそんな兆しなんて、皆無だったんだ。
生まれたばかりの君の瞳は、とても澄んでいて。
何で、かな。何が、かな。どうして、なのかな。
重なることで積むことで、君は君を霞み堕とすゆく。
幾多の影が・偽りからの虚像が、君の臓器を蝕(むしば)んでゆく。
欲しがることが、多すぎた。
どれだけ自分を満たしても、肝心の心の器が割れちゃってて。
こぼれゆき、去りゆき、分かれ離れ散りゆき。
解消出来ないイライラだけが、溜まり溜まりゆく。
嫌な自分に対抗するために、暴力的で過激な自分を産み創り出し。
負の連鎖・自傷の連なり、終わりなく。
外へと向かう矢印が、すべて自分へと刺さり還りゆく。
痛い、痛い。痛い。
皮肉にもそれだけが、君にとっての生きる印(いん)となり。
流れ出る紅い愛液が、君の代わりに叫び続けていた。
苦しい、痛い。

それでもまだ、ここにいたい。

ダメかな。

 

「再生時間0:37~0:48」

f:id:inukaiyuu:20190418200013p:plain

 

望む望まないに関係なく夜は延長され続けて。

暗闇ご褒美タイムは誰かさんの思惑通りに演出され続けて。
君は少し、休めている。
君は少し、心を止めている。
動かなくてもいい時間。笑わなくてもいい時間。
代償を支払わなくていい時間、せせらぎ音と共に流れ続けていて。
君の呼吸、とても優しくなってゆき。
君の鼓動、緩やかに腰を振り続けていて。
君の身体だけが、君といる。
届かない遠くの季節に想いを馳せたり。
帰れない過去の記憶に抱かれたり。
自分の身体を見習って、自分の心を温めてゆく。
今はまだ、世界とは距離を置いていて。
目をつぶることで・世界を拒絶することで・暗闇に逃げることで、
自分の構成要素である繊細なる自分、いたわっていこうよ。
一時停戦、自分自身とは。

 

「再生時間0:48~0:59」

f:id:inukaiyuu:20190418200750p:plain

 

ある程度休み終わり憩い終わり、君は暗闇の中で独り戦いゆく。
暗闇の中から顕れ出でてくる無数の影と、君は永い期間戦ってゆく。
その戦い、過激ながらもひどく静謐で。
恐らく勝ち戦であろうけれども、その終わりが見えないから虚しくて。
何回斬れば斬られれば、終わりを迎えられるのだろう。
何体亡骸積み重ねれば、向かってくる意思の炎を消すことが出来るのだろう。
それだけ君は、心病み重なっていて。
それだけ君は罪、背負い重なっていて。
刻印を押され続けて。残飯処理をし続けて。
は~あ(クソでか大ため息)。
もう面倒だから心の処理をAIに任せて、君は独り戯れゆき。
自分の心を適当に扱い適当に監視しながら、奈良美智の絵画の子のように君はふてくされ気に宙に視線を漂わせつつ。
どこでもない場所に、自分を置いて。
誰も入ってこない空間で、自分漂わせ続けて。
こういう心の軽さを感じれるのは、いつ以来だろう。
こういう心に隙間が生じたのは、いつ以来だろう。
今まではあまりにも密集していて。
今まではあまりにも凝固していて。

疲れた、疲れた。くぎゅー、くぎゅー。

ああ、束の間の安らぎの空気がとても美味しい。
手を合わせられることが、慈しい。
それでも止まることのない返り血、ひどくうぜえ。

早く終われ、終わってくれ。

 

「再生時間0:59~1:10」

f:id:inukaiyuu:20190418201602p:plain

 

自分の意志を遠い昔みたいに再び生き返らせるのは、嫌だな面倒だな。
これまで通りずっとこのまま、考えることを停止して誰かに命令され続けていたい。
逆らいたくない。
立ち向かいたくない。
従っていたい。
生命としてレヴェル低い君はとても受動的で。
例えそれが悪だとしても・例えそれが君にとって害だとしても、
君は他者の命令を待ち続けて。
意思失くすことで、自分の陰影の嵩(かさ)を保っている。
それが落ち着くから。それが心地良いから。それが楽しいと思うから。
犬となって奴隷となって、君は笑い。
心を閉ざすことで、君は安心を勝ち取ってゆく。
他人の笑い声、気にならず。
必死の先に行きついた先は、ひどく闇であり、また光りでもあった。
少しだけ君は、成長していった。
それは成長とは呼べないかもしれないけれど。

今はそれで、良かった。

へへへ。

 

「再生時間1:10~1:21」

f:id:inukaiyuu:20190418201914p:plain

 

ご主人様に抱かれて。ご主人様に寵愛されて。
気持ちよく気持ちよく、子供へと還る君。大人を脱ぎ去り心晴れゆき想う君。
無垢が君を呼んでいて。白痴が君を誘っていて。
君は君を忘れて。温もりだけに、愛されて。
言葉捨てて、投げ終わらせて。
意思、ブックオフに0円で売ってしまって。
何も無くていい。何も見えなくていい。何も知らなくていい。
ただ、ただ、君は眠りゆく。
そうしておかないと、君は危険だから。
君とかいう危ないモノも、稀に世に存在してしまうんだよ。
本当に、やれやれだよね。
やれやれだよね、やれやれだよね。

だから安心にかかって、眠ってくれ。
何もかも捨てて・何もかも忘れて無防備に眠る君の横顔は、
世界で一番柔らかそうだった。
それ、いる?

 

「再生時間1:21~1:32」

f:id:inukaiyuu:20190418202400p:plain

 

月が与えし夜の快夢は、少しずつ霞(かす)みがかりゆき沈みゆき。
美味しいものには期限があって。
美しいものは、一瞬で。
安堵、一瞬にしてまた君は奪われてゆき。
起こされてゆく起こされてゆく、犯されてゆく。
もう少しこのまま、戯れていたかったな。
もう少しこのまま、騙されていたかったな。
もう少しこのまま、見つめられたままでいたかったな。
嫌々ながらも徐々にヒトへと戻る君は、明らかに殺意取り戻していって。
あ~あ、また世に鬼が放たれてゆく。
だからさ、次またこいつがここに来たら、皆でぼかすか殴ろうぜ。
それが彼女の、望みなのだから。
ひどく安い望み。

 

「再生時間1:32~1:43」

f:id:inukaiyuu:20190418202719p:plain

 

陰キャ火山が華奢(きゃしゃ)に噴火して、また世界が一度終わりゆく。

クソ邪魔な奴だよな。

クソ煩わしい奴だよな。

クソ害悪な存在だよな。
君はそれを、笑いながら見ている。
君はそれを、まだ裸のままで応援している。
世界終わって、暗闇に堕ちて。
君はかなり不器用で。バランスを知らなくて。
0か100しか、知らなくて。
水平を知らない。調和が嫌い。
負け犬に参加して。掲示板に書き込み続けて。
性悪説を証明しようと、とても健気に頑張っていて。
ここには、いないんだね。
ここには、君を包んでくれる存在がいないことを君は知っていて。
悪いことをするとまた誘われるのを知っている。
怒られたい。諭されたい。叱られたい。
罪を反転させてゆき。
罪の背中を生きがいとして。
そしてまた君は、光りを奪う赤黒い液体の中へと沈んでいった。
ぽっちゃん。
ああ、温かい。
嬉しい。

 

「再生時間1:43~曲の終わりまで」

f:id:inukaiyuu:20190418203221p:plain

 

ヤンデレ少女の擦り合わせはようやく終わりに近づき。
最後まで、上手く泣けなかったね。
最後まで、上手く笑えなかったね。
自分の表情に、あまり愛されなかったね。
右下ばかりに視線を落として。
いつか救われることを望みつつも、永遠に救われないこともお願いしていて。
それ、ズルくない?
やっぱり、子供なんだ。
両立しない2つのものを、欲しがっている。
自分をいつまでも避け続けている。
遠くから見た方が、光りはより美しく感じられて。
届かない光りを求めて・儚さと愚かさを求めて、君は今夜も眠り堕ちていった。
ああ、おやすみなさい。鬼の子よ。
そして今夜も自分自身を、赦していってあげて下さいね。
おねがい、救われない鬼の子よ。

おねがい。

おわり。