眠れない人のための「Beautiful World (宇多田ヒカル)」徹底解析。~これが私の力なの。~

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はい、こんにちは、犬飼です。

今日も音楽解析をやっていきます。

 

音楽と自分。

すぐ近くにあるようで、とてもとても離れているようで。

離れていると、近づきたくなる。近づきすぎると、離れたくなる。

そんな音楽と、自分の関係性。

 

僕たちは音楽について実際どれだけ知っているのか分かっているのか。

音楽の正体を、どれだけ暴けるのか。

 

音楽を聴いているときの、自分の心の移り変わりを詳しく知りたい。

音楽を聴いていると、まるでどこかに旅しているような、不思議な気持ちになる。

 

音楽を聴いているとき、僕らの頭の中にはどういう物語が渦巻いているのか。

音楽は僕らの心を、どう変化させているのか。

 

そういうことをこのサイトでは、様々な曲を実際に解析することで、解き明かしていきたいと思います。

 

今日聴いていくのは宇多田ヒカルさんの「Beautiful World 」

YOUTUBEに動画がありますので、いつものように動画の再生時間に合わせて、

僕の心がどういった心象を抱くのか、音楽からどういったことを読み解いているのか、

書き記していきたいと思います。

それでははじめます。動画を再生してください。

 

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「再生時間0:05~0:06」

 

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曲がはじまります。イントロからはじまります。

・・・。

・・・。

(ニヤニヤニヤニヤ)

やっぱ宇多田さんの曲っていいですよね。

安心します。安心して解析できます。

宇多田さんの曲って、幅広いんですよね。

すごく門戸を広く開いている。

聴きやすい。

胸が自然とスーッとなる。

優しい気持ちになれる。

初心に戻れる。

 

さて、イントロのはじめの音から解析していきましょう。

再生時間0:06辺りで曲のはじめの音が流れるのですが、

なんというか、触れやすい見やすい感じやすい音なんですよね、宇多田さんの作る曲の音って。

だから万人受けするというか。

 

宇多田さんの音は、すごく自然なものっぽいんですよ。

公園とか森とかの、あの木や葉や土や川や。

そういう自然っぽい匂いのする音を宇多田さんは作り出すので、その音は誰でも好きな音ですし、誰にでも楽に受けいれられやすい音なんです。

 

自然の音だから、聴く側も簡単に心を開く。

音に対して聴き手が抵抗がない。

音に対してすんなりと触れ合えることができる。

 

こういう音の特徴は宇多田さんの他の曲にも言えるし、

もちろんこの曲からも感じ取れるし実際この曲のイントロのはじめの音で感じられる。

 

聴く側に抵抗感を与えない。

音楽においてそれはとても重要な要素のひとつ。

 

音は誘う、聴き手のために。

 

 

 

「再生時間0:06~0:13」

 

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イントロのはじめの音が上に上がっていくような、高い音を出して伸ばしていく。

 

僕ら聴き手はその音の上昇と共に、深く、深く、息をしていく。

空気を僕らの頭の中に。

心に余裕を。心に落ち着きを。

 

高い音が、僕らをどこか神聖な場所へと連れていくような。

 

曲におけるイントロの役割は聴き手の曲内での立ち位置を決めること。

現実から非現実へ。

僕ら聴き手はイントロで、宇多田さんが作り出す別世界を旅の準備をする。

 

聴き手ひとりひとりが、この物語の主人公。

君たちの決断が、世界をいかようにも変容させる。

 

この曲のイントロで僕ら聴き手はどのようなキャラになっていくのか。

曲のイントロは、コンピューターゲームにおける始める前のキャラメイク。

僕らはイントロで、変身する。

 

今回のこの曲のイントロで僕が感じるのは、”弱めの勇気”

そこまで強くはない。

まだ灯の弱い、小さな小さな勇気。

 

この小さな勇気を持って、僕ら聴き手はどこに行くのか、何をするのか。

 

それにしてもここは、どこか懐かしい。

神聖な空気に包まれた、不思議な安心感を与えてくれるこの場所。

 

昔来たことがあるような・・・、

それがいつだったか思い出そうとする前に、夜明けが来てしまう。

冒険ははじまってしまう。

 

はじまりの地は、悲しみを常に含む。

はじまりの地は、終わりでもある。

 

そろそろ歌詞がはじまっていきます。

 

 

 

「再生時間0:13~0:15」

 

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軽くジャブ。

宇多田から聴き手に対する、軽いジャブ。

 

宇多田の声に対する僕のファーストインプレッションは、”合わさっている”。

つまりイントロの音と宇多田の声が、近い、似ている、重なっているという印象。

 

これは結難すごいし、むずかしいことです。

僕の意見では聴き手に対して優しいのは声ではなく音だと思います。

音の方が聴き手に対して優しいです。

声より音の方が聴き手に対して”負担”をかけない。プレッシャーを与えない。

音は聴き手に合わせて、その姿を変えてくれます。

 

そういう音と似ている、合わさっている宇多田の声というのは、すごいですよね。

聴き手に貪欲に優しい。

 

イントロから歌詞へと、スムーズに聴き手を壊さず宇多田の声は導いてくれます。

 

音に似た声。

 

そんな宇多田の声ですが、聴き手に対してまずは軽くジャブ。

 

1つの曲というのは聴き手と歌う側(今回で言えば宇多田)によって1つの物語が紡がれます。

 

彼女なりの聴き手に対するあいさつ。

軽いあいさつ。まだお互いある程度距離がありながらの、軽いあいさつ。

 

 

 

「再生時間0:15~0:22」

 

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あいさつが終わって、聴き手と歌う側の周りに広がる景色が見えていきます。

2者の周りに広がる風景が音によって浮かび上がらせてきます。

 

ここはどこなんでしょう。

 

基本的にやはり、自然が多い場所のように感じ取れます。

朝焼け。

昨日の夜は少し雨が降っていたのか、葉にしずくがついているように感じます。

少し霧のかかった朝。

まだ少し、意識がぼんやりといしている、寝起き直後。

 

そんなまだ寝ぼけまなこな君に、次の瞬間(再生時間0:23~)、

いきなり物語が展開しはじめます。

 

 

 

 

 

「再生時間0:23~0:25」

 

 

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後ろからドンと押されて、高い高い雲の上の空から落とされていくような、そんな感覚。

風景が、目で追えない。

 

こわい?

 

いや、こわい、こわいけれど、僕ら聴き手は笑う。

まるでそれを、心の奥で求めていたような。

 

こわいけれど、求めていたこわさ。

例えるならスラムダンクの流川が、沢北に出会った時のような。

 

挑戦できるこわさ。自分を壊してくれるこわさ。

新しいものをくれるこわさ。

 

こわさと言っても、嬉しいこわさ。

そんなこわさに、君は出会った。

 

 

「再生時間0:26~0:31」

 

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怪物はでっかくなっていく。

とても自分たちじゃダメージを与えられないほど、でかく、でかく。

 

怪物が大きくなっていくにつれて、僕らの鼓動は早まっていく。

ドキドキって、気持ちいい。

ドキドキしたい、またあの時のように。

 

今まで抑えていた感情が、今まで閉まっていた聴き手の感情が、

どんどん、どんどん、顔を見せる。

 

もっと見せろ、君の顔を。

もっと見せろ、君の姿を。

 

相手の姿が美しい。

僕らは美しい姿に興奮する。

僕らもまた、美しい姿を隠している。

美しい姿を見せれるのは、認めた相手だけ。

美しい姿を見せれるのは、心を許せる相手だけ。

 

怪物は、怪物じゃない。

 

怪物は、怪物は、・・・、君は笑い、僕も笑った。

 

 

 

「再生時間0:31~0:38」

 

 

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大きくなっているのか、小さくなっているのか。

自分がどうなっていっているのか、自分では分からなくなってくる。

 

まるで暴走する(千と千尋の神隠しの)カオナシのように。

まるで暴走する(AKIRAの)鉄雄のように。

 

今までの隠していた自分が、暴走する。

それは良くないことなのかもしれない。

 

ただ、すごく嬉しい、ありがたい。

 

自分を出せて、嬉しい。自分を出せて、気持ちいい。

 

物語は1人では生まれない。

君がいて、僕がいるという、当たり前だけど、至極難易度の高いクエスト。

 

それが許される、この曲。

君を1人にはしない曲。

君を解放していく、この曲。

 

吐きたいものは吐こう、壊したいものは壊して。

すべてを包む。抱いて、抱かれて。

 

 

 

「再生時間0:38~0:39」

 

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君は吸収されていく。

温かいものの中へ。

優しき中へ。

 

吸収されて、吸収されて。

それは君を失うことなのかもしれない。

それは君を君ではなくすことなのかもしれない。

 

意識も、感情も、夢も、消していく。消えていく。

 

君は消える。君は消える。君が消える。

 

君があると、失うものも得るものもある。

しかし君が消えると、失うものも得るものもない。

 

君は自分を消すことで、優しきものの一部になる、温かいものの一部になる。

 

残らないけど、残る。

 

君は君自身が、拠り所となる。

 

 

「再生時間0:39~終わりまで」

 

 

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こわいって何だろう、

私は何に怖がっていたのだろう。

 

君は温かく優しいものの中で、考える。

 

雨は上がっている。

今日は晴れだ。

風が少し吹いている。

木々の葉が、かすかに揺れて音をたてる。

 

すべては繰り返す。

昨日は今日には、消えている。

明日には今日が、無くなっている。

繰り返しの中で、有るものなんて無い。

 

無の世界の中で、僕らは有り続けなけれないけない。

 

矛盾した世界を、歩いていこう。

 

否定された世界を、歩いていこう。

 

その世界が君にとって、美しいと思える限り。

 

Beautiful World 

Utada Hikaru

 

眠れない人のための「Beautiful World (宇多田ヒカル)」徹底解析。

~これが私の力なの。~

 

終わり。

 

後書き。

まあまあちゃんと書けたと思います。

そんなに後書き書くこと今回は無いです。

おつかれさまでした<(_ _)>。

 

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